MAX6642 2way温度センサーボード [CLICK-Temp6] 簡単ガイド

MAX6642はICチップ本体と、外部にPN結合のデバイス(PNPトランジスタ)を取り付けて温度センサーとして使える高精度の2チャンネルデジタル温度センサーICです。

このMAX6642本体にも温度センサーが付いており周囲のローカル温度を計測できます。

一方、ボードの端子台にPNP型トランジスタ(例: 2SA1015など)を接続すれば、そのトランジスタをリモート温度センサーとして使える優れものです。ボードにはMAX6642で推奨されているエミッターとベース間の2200pFのコンデンサも実装されていますので外付け部品なしで使えます。

 

インターフェイスはI2Cで2線式シリアルです。
温度データフォーマットは、最下位ビット(LSB)が+0.25℃相当の10ビットです。ローカル(ICそのものの温度センサー)またはリモート(PN結合の接続したデバイス)温度が閾値を超える温度になるとINTピンがアサートされます。(INTピンはアクティブLowです。)

MAX6642は内蔵センサーの場合-40℃~+125℃で動作します。リモート接続の場合には0℃~+150℃の範囲で温度を測定します。特徴は下記の通りです。

  • リモート精度:±1℃
  • ローカル精度:±2℃ (+60℃~+100℃の範囲で)
  • リモート温度測定:最高+150℃
  • 分解能:0.25℃

■ドキュメント一覧

 ●MAX6642データシート

 ●CLICK-Temp6ボード回路図


■ピンアサイン

ピンアサインはmikroBUSに準拠しています。

I2Cの信号線、SDAとSCLはボード内で10KΩの抵抗器でプルアップされています。

電源は3.3V又は5Vが利用可能です。電源電圧の設定は基板上の”VCC SEL”のジャンパーで設定します。デフォルトでは3V3側、すなわち3.3V電源として設定されています。この場合にはロジック電圧のレベルもこれに合わせて使用します。Vccの電位を超える電圧を信号線に印加しないように注意してください。

INTピンはボード内で10KΩの抵抗器によってプルアップされています。MAX6642のALERT出力ピンと接続されています。


■I2C通信例

本ページでは代表的な使い方の例をご紹介しています。より詳しい内容が必要な場合にはデータシートをご参照ください。

本デバイスのI2Cスレーブアドレスは7ビットアドレスで 1001 010 となっています。16進数だと94hに固定されています。Writeの時は+0、Readの時は+1します。フォーマットは下図のようになっています。

温度データは8データビット(アドレス00h, 01h)で表され、LSBは+1℃、MSBは+128℃です。リモート温度センサーの温度データは2つの追加されたビット10hと11hが利用可能で、+0.25℃の分解能となります。

なお内蔵のADコンバーターの変換時間は125mSです。ただしADコンバーターがビジー状態であっても温度の読み取りは可能(変換1回前のデータとなります)です。

MAX6642のコマンド一覧は下表の通りです。

 

●初期化の手順

最初に試し通信が正しくできていることを確認するためコマンドFEhをI2Cマスターから送信して本機が4Dhを返すことを確認してみてください。下図は送受信時の波形データです。

 

4DhがReadできることを確認したら続いてコマンド09hで設定を書き込みます。コンフィギュレーションバイトのビットアサインは下表の通りです。

POR STATE (=電源投入時の状態)の設定値のままでいいのですが、一応設定を次のようにして書き込みます。

・ALERTピンを2つの連続した失敗でセットする → 1

・測定はローカル設定(ICチップのセンサーによる測定)を有効にする → 0

・通常動作モードに設定 → 0

・ALERTピンを有効にする → 0

この状態は、0001 0000 となり10hとなります。09hに続き10hをマスターが送信して設定をします。

これで初期化は完了です。

 

●ローカル温度の読み取り

MAX6642のIC上の温度センサーの温度を読み取ります。すなわちこれはボード周囲(IC周囲)の温度となります。

ローカル温度の読み取りはコマンド一覧にあるとおり00hです。00hをWriteしてデータをReadします。その値が直接セルシウス度(℃)になります。

下図の波形は周囲温度26℃の場合です。00hのWriteの後、1AhがReadできました。

 

●リモート温度の読み取り

ボードに実装されている端子台にPNP型トランジスターを取り付けると、そのトランジスターを温度センサーとして利用できます。配線を延長することで、ボードから離れた位置の温度を計測できます。ボードには必要な部品は実装されているためPNP型トランジスターを取り付けるだけで利用可能です。

下記のようにボードの+端子にトランジスターのエミッターを、-端子にベースとコレクターを接続して使用します。トランジスターはPNP型であればほぼ使えますが、代表的な2SA1015や互換品などをご利用ください。使用可能なトランジスターの特性等についてはデータシートの9ページ~10ページをご参照ください。

 

 

リモート温度の読み取りはコマンド一覧にあるとおり01hです。01hをWriteしてデータをReadします。その値が直接セルシウス度(℃)になります。

下図の波形はトランジスター周囲温度9℃の場合です。00hのWriteの後、0AhがReadできました。